戦国策 2014 5 18

 「戦国策」とは、中国の戦国時代の史書です。
そこには、このようなことが書かれています。
 「貝(二枚貝)が口をあけていると、鷸(シギ)が飛んできて、
貝の肉を食べようとしたが、貝は殻を閉じて、
シギの嘴(くちばし)を挟んだ。
 両者が譲らず、意地を張り続けていたところ、
たまたま通りかかった漁師が両者を簡単に生け捕りにすることができた」
(戦国策 「鷸蚌の争い」)
 これを「漁夫の利」と言います。
要するに、二者が争っているのに乗じて、
第三者が、やすやすと利益を手に入れるということです。
 これは、具体的に言うと、どういうことか。
たとえば、ウクライナ危機で、
アメリカがロシアと言い争った結果、
ロシアは生き残りのために中国に接近することになった。
中国は、労せずして、利益を得ることになったということです。
 つまり、中国としては、後方に不安がなくなるので、
安心して、南方(南シナ海)に進出することができます。
 それもこれも、オバマ政権の外交が近眼的なもので、
世界全体が見えていないことが原因です。
 本当に、オバマ政権にとって、
「外交は苦手科目だ」ということです。
 本当は、オバマ政権としては、
中国・ロシアの接近を分断しなければならないのです。
 それができなければ、東南アジア諸国は、
オバマ政権のアジア重視は、口だけであり、中身はないと判断します。
 シリア危機をめぐって、
迷走に迷走を重ねたオバマ政権。
結果的に、ロシアが利益を確保しました。
 今度は、ウクライナ危機で、
中国が「漁夫の利」を得ることになります。

攻めと守り 2014 4 19
 相変わらず、欧米は、
「ウクライナ問題」で大騒ぎですが、
これを軍事的に見れば、どう見えるか。
 それは、2014年4月10日の読売新聞の記事にあったように、
中国の「攻め」とロシアの「守り」となるでしょう。
 近年、欧州(EUやNATO)は、確実に東へと拡大してきました。
つまり、ロシア(ソ連)は、東へと後退してきたのです。
 要するに、ロシアは、守りと後退を繰り返して、
ついに、その攻防がロシア国境近くまで及んでいるということです。
 一方、中国は、どうか。
これは、「攻め」と言ってよいでしょう。
 歴史的に、中国は、「海禁政策」を取っていました。
つまり、海を暗黒のものと考え、海に進出することを避けてきたのです。
 しかし、最近は、その中国が、
あえて海に進出してくるのですから、尋常なものではありません。
そういうわけで、中国の周辺国が危機感を感じるのは、自然でしょう。
 今のところ、日本は、尖閣諸島の問題で、
アメリカに泣きついていますが、
「あの時は、のん気なことを言っていたなあ」と思う時が来るでしょう。
 やがて、東南アジア諸国が、日本に対して、
「南シナ海を何とかしてくれ」と泣きついてくるようになるでしょう。
 要するに、アメリカが当てにならないからです。
今のところ、アメリカは超大国ですが、
やがて、誰の目にも「アメリカが地域大国になった」と思う時が来るでしょう。
 日本の海軍力は、世界第2位とも世界第3位とも言われています。
学者や政治家が、憲法9条をめぐって「神学論争」に夢中になっているうちに、
日本の海軍力が、世界トップレベルになってしまったのです。
 東南アジア諸国は、こう考えるでしょう。
「それほどの海軍力を持っているならば、我々を助けてくれ。
同じ民主主義国同士で助け合うべきだ」
 日本では、アメリカとの集団的自衛権をどうすべきかについて、
議論が白熱していますが、
今頃、そんな寝ぼけたことを言っているとは、
「将来の構想力がない」と言わざるを得ません。
 アメリカ不在の世界において、
東アジアの海軍力の中核を担うのは、日本です。
 そういうわけで、集団的自衛権の議論は、時代遅れであり、
本来ならば、そういう議論は数十年前に行うべきだったのです。
 今は、東アジアの海の安全保障は、
日本の海軍力で、どうやって維持するかを考えるべき時代です。
 アメリカの未来は、イギリスです。
「日が沈まぬ帝国」と言われた大英帝国は、
今や人々の記憶の中にあります。

































































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